リウマチ漢方
漢方治療の考え方は、長い歴史のなかで培われたものです。その最も基本的なものは、病人を、”陰陽”や”虚実”という尺度で分類したり評価したりすることです。陰陽の”陰”は、元来は”ひかげ”のことで、それから連想される「暗い」、「冷たい」などの状態をさす言葉です。つまり、病人がいかにも顔色が悪く、寒々しい状態にあることを言います。陰陽の”陽”は、元来は”ひなた”のことで、それから連想される「明るい」、「暑い」などの状態を示す言葉です。つまり、病人の血色がよく、いかにも熱のある状態にあることを言います。陰陽というのは、病人の状態を表す一つの物差しです。
漢方では、パーキンソン病による筋肉の硬化や震えは、「肝」と密接な関係があると考えられています。「肝」の働きはストレスや疲労、アルコールや西洋薬の服用によっても弱められます。身近な例では、ひどく疲れているときや肝炎の病気をもっているときなどは「肝」が弱くなり、足などのひきつれをおこすことがあります。漢方治療は症状の治療とともに、そのほかの自覚症状、頭痛、イライラ、食欲不振、頻尿など総合的に判断して、一人ひとりの体質にあった治療をおこないます。
実際に用いられている漢方処方としては、筋肉が硬くなって、震えたり、怒りっぽいなどの「肝」の症状があるときは抑肝散(ヨッカンサン)や黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)などが用いられます。また、それぞれの症状に応じて、八味地黄丸(ハチミジオウガン)や釣藤散(チョウトウサン)などの処方も用意されています。パーキンソン病の漢方薬は、初期の段階で症状を抑えることができますし、治療中のかたは治療薬の副作用を軽減したり、薬の量を減らすことができます。また、症状が改善しているケースも多く見られるのでこの点においても、漢方治療を試みる価値はあるといえます。
また逆に、西洋医学に基礎をおく現代の医療が、「還元主義的な医療」を念頭に置くあまり臨床検査データに頼りすぎ、それゆえにかえって見えなくなる領域、治せなくなる病症がある状況を鑑みれば、非還元主義的な漢方医療が現代においては、それに対する欠くべからざる補完的役割を果たしていることが指摘されます。さらに「患者を医師の五感でよく観察すべし」という診察法は、どのような医学を修めた医師にとっても共通の指針であるともいえるでしょう。
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